REAL ESTATE | 貸主・オーナー・管理会社の方へ
建物明渡し・立退き
家賃が数か月分止まっている。解除を通知しても出て行かない。そうした貸主側からのご相談として、契約書と入金記録を拝見し、次に取るべき手順をお伝えします。
CASE
このような場面のご相談
数か月分の滞納があり、督促にも応じてもらえない
契約を解除したのに、出て行ってもらえない
契約と違う使い方をされている、無断で又貸しされている
建物が古くなり、建替えのために退去してほしい
立退料が必要なのか、いくらなのかが分からない
入居者と連絡が取れず、中の様子も分からない
CAUSE
立退き・明渡しのよくある原因
建物明渡しは、退去を求める理由によって、進め方も、必要になる資料も変わります。まずは、ご自身の状況が次のどれに近いかをご確認ください。
家賃・賃料の滞納
賃料の支払が続かず、督促にも応じてもらえない場合です。滞納の期間と金額、督促の経緯を確認し、契約を解除できる状況かを見極めるところから始めます。未払分の回収を、明渡しと併せて検討することもあります。
用法違反・無断転貸などの契約違反
居住用の物件を無断で店舗や事務所に使う、貸主に無断で第三者へ又貸しするなど、契約に反する使い方がなされている場合です。契約書のどの条項に反するか、退去を求めるだけの事情といえるかを確認します。
建替え・老朽化・自己使用
建物の老朽化や建替え、貸主自身が使う必要が生じたなど、貸主側の事情で退去を求める場合です。契約違反を理由とする場合とは異なり、更新拒絶に正当事由が必要となり、立退料が問題になることがあります。
賃料の額そのものが争いになっている場合は、賃料の増額・減額のページでご説明しています。借地上の建物の収去や、再開発に伴う立退きは、借地・借家の問題になります。詳しくは借地・借家、再開発のページをご覧ください。
USE
住居と店舗の違い
同じ建物明渡しでも、貸している物件が住居か、店舗・事業用かで、検討することが変わります。とくに事業用の物件は、住居にはない要素が金額に大きく響きます。
住居(居住用)の場合
居住用の物件では、入居者の生活の場であるため、退去に伴う移転先の確保や引っ越しの負担が主に問題になります。滞納を理由とする明渡しでは、解除できるかどうかの判断が、滞納額と督促の経緯という比較的はっきりした事実に沿って進みます。
店舗・事業用の場合
店舗や事務所などの事業用物件では、退去がそのまま営業の停止や移転につながるため、営業上の影響、造作、保証金の精算といった住居にはない要素が絡みます。内装や設備に投じた費用の扱い、取引先との関係など、金額の面でも住居と大きく異なることがあります。
店舗・事務所・倉庫など事業用物件の明渡しで特に問題になる点は、店舗・事業用物件の明渡し(貸主側)のページにまとめています。
PROCESS
督促から強制執行までの流れ
まず、賃貸借契約書、賃料の入金記録、これまでのやり取りを確認し、契約を解除できる状況かどうかを見極めます。その見立てによって、交渉で進めるか、訴訟を前提に組み立てるかが決まります。実際にどこまで進むかは相手の対応次第です。各段階で貸主側に用意していただく資料も、あわせてご説明します。
督促・催告STEP 1
滞納や契約違反があった場合、まずは書面で支払や是正を求めます。内容証明郵便を用いると、いつ、どのような請求をしたかが記録に残ります。催告にどう応じたかは、後に解除が認められるかどうかを左右します。
賃貸借契約書、賃料の入金記録、これまでの連絡の記録
契約の解除通知STEP 2
催告しても状況が改まらないときは、契約を解除する旨を書面で通知します。解除の理由と根拠を明確にし、あわせて建物の明渡しを求めます。この通知に何を書いたかが、交渉でも訴訟でもそのまま前提になります。退去条件の交渉では、移転費用や営業上の影響も踏まえて条件を調整します。
滞納額の一覧、催告した書面の控え、契約違反の事実がわかる資料(現況の写真など)
明渡しの訴訟STEP 3
交渉で退去に至らない場合は、建物明渡しを求める訴訟を提起します。占有者が入れ替わるおそれがあるときは、占有移転禁止の仮処分を検討することもあります。
契約関係の資料一式、解除通知の控え、未払賃料の計算書
強制執行STEP 4
判決を得ても任意に退去しない場合は、裁判所の手続を通じて明渡しの強制執行を行います。執行には別途の費用がかかり、室内に残された動産の扱いにも所定の手順が伴います。
確定した判決などの債務名義、物件の現況がわかる資料
CONDITION
解除できる条件と証拠
賃貸借契約は、貸主と借主の信頼関係を基礎とする継続的な契約です。そのため、滞納や契約違反があっても、直ちに解除が認められるとは限らず、信頼関係が損なわれたといえるかどうかが問われます。
判断にあたっては、滞納の期間や金額だけでなく、これまでの対応の経緯が重視されます。そのため、経緯を裏づける記録が残っているかどうかで、見通しが変わります。
契約の内容と、どの条項に反しているかを確かめる出発点になります。
いつ、いくら滞納しているかを客観的に示します。通帳や送金の記録が役立ちます。
いつ、どのように支払や是正を求めたかを示します。内容証明郵便や書面の控えが有効です。
用法違反や無断転貸などの場合、現況の写真や、第三者の使用がうかがえる資料を確認します。
COST
期間・費用・立退料の考え方
明渡しにかかる期間や費用は、事案によって幅があり、一律の額をお示しすることはできません。何によって変わるのかをご説明します。ご相談の際に、想定される進み方に応じた見通しをお伝えします。
期間の考え方
交渉のみで退去がまとまれば、比較的短い期間で解決することもあります。訴訟に至った場合の期間は、送達や争点、相手方の対応、裁判所の進行によって大きく異なり、判決後に強制執行が必要になれば、さらに期間を要します。
費用の考え方
費用は、どの段階まで手続が進むかによって変わります。交渉で終わる場合、訴訟まで進む場合、強制執行まで必要になる場合とで、想定される負担は異なります。強制執行には、執行そのものにかかる費用も別途生じます。料金の目安は料金のご案内をご覧ください。
立退料は、常に必要となるものではありません。滞納などの契約違反を理由とする明渡しでは、基本的に問題となりません。他方、建替えや自己使用など貸主側の事情で更新を拒絶する場合には、退去を求める正当事由を補完するものとして、立退料が考慮されることがあります。金額を左右するのは、おおむね次のような事情です。
貸主が明渡しを必要とする程度と、借主が使い続ける必要性を照らし合わせます。
老朽化の程度や建替えの必要性など、建物自体の状況が判断に影響します。
引っ越しや、店舗であれば移転先の確保、営業上の影響などが考慮されます。
立退料の水準は事案ごとに異なるため、一律に示すことはできません。個別の状況をうかがったうえで、見通しをご説明します。建替えや自己使用など貸主側の事情による立退きと立退料の考え方は、立退料と正当事由(貸主側)のページで個別に取り上げています。
TIMING
弁護士に相談するタイミング
滞納が始まって間もない段階であれば、督促の方法や、解除に向けた記録の残し方を整えておくことで、その後の手続を進めやすくなります。
あわてて自力で退去させようとすることは、かえって不利になりかねません。鍵の交換や室内への立入りは避け、契約書と入金記録を手元に、まずは状況をお知らせください。
お問い合わせ建物を借りていて、貸主から立退きを求められた事業者の方のご相談は、立退きを求められた方へ(事業者・テナント)のページで扱っています。借主の側がどこを確認するかは、コラム「立退きの返事前に確認すること」で書いています。
FAQ
よくあるご質問
賃料を何か月滞納したら契約を解除できますか
法律上「何か月で解除できる」という一律の基準はありません。賃貸借は当事者の信頼関係を土台にした契約であるため、滞納の期間や金額に加え、督促にどう応じたかといった経緯まで見て、その土台が失われたといえるかで判断されます。
実務では3か月分程度の滞納が一つの目安とされますが、事案により異なり、3か月が経過すれば当然に解除できるわけではありません。解除には催告などの手順も関わるため、契約書と入金記録をもとに見通しを立てることが出発点になります。
立退料は支払わなければならないものですか
支払が当然に必要になるわけではありません。賃料滞納のように入居者側の契約違反を理由に解除するのであれば、立退料は基本的に問題になりません。立退料が出てくるのは、老朽化や建替えのように貸主側の事情で更新を拒絶する場面で、退去を求める正当事由を補う位置にあるためです。金額は建物の使用状況や移転の負担などの事情によって変わります。
入居者と連絡が取れなくても明渡しを進められますか
進められる場合があります。所在が分からない相手に対しても、公示送達という方法で訴訟を進める途があります。一方で、無断で室内に立ち入る、鍵を交換するといった自力での対応は、後に損害賠償を求められるリスクがあるため避けるべきです。残置物の扱いにも法的な手順が関わりますので、着手前にご相談ください。
明渡しまでどのくらいの期間がかかりますか
交渉で退去がまとまる場合は、短期間で終わることもあります。訴訟になった場合は一律には申し上げられません。送達に時間がかかるか、どこが争点になるか、相手方が応じるかどうかで変わり、強制執行まで進めばその分の期間も加わります。
管理物件で滞納が多発している場合、どのような体制を整えればよいですか
個別の督促を都度の判断で行うより、督促の時期と方法、記録の残し方、保証会社や連帯保証人への連絡といった対応の型をあらかじめ決めておくと、滞納の長期化を防ぎやすくなります。一定の滞納額や期間に達した段階で弁護士対応へ切り替える基準を設けておく方法も有効です。契約書の条項の見直しも含め、継続的な対応が見込まれる場合には、顧問契約による体制づくりも選択肢になります。
滞納された賃料も一緒に請求できますか
明渡しの請求と未払賃料の請求は、併せて進めるのが基本です。契約終了後も占有・使用が続いている期間については、賃料相当額の損害金などを請求することがあります。連帯保証人がいる場合は、保証人への請求も検討します。回収の見込みは相手方の資力にもよるため、費用との釣り合いを含めてご説明します。
CASE EXAMPLES
解決事例
建物明渡しに関して、貸主側で取り扱ってきた案件の一部です。依頼者が特定されないよう、概要を抽象化して掲載しています。解決内容は事案により異なります。
建物明渡しの交渉
提訴せず交渉で明渡しを実現
賃料滞納テナントの建物明渡し
提訴後の和解で退去日と精算条件を合意
建物明渡しの調停
調停の中で明渡しの合意を成立
建物明渡し請求訴訟
提訴し訴訟手続を経て明渡しを実現
FLOW
相談の流れ
お問い合わせ
フォーム又はお電話でご連絡ください。
日程調整
来所のほか、WEB会議でのご相談にも対応しています。
ご相談
資料を拝見し、見通しと今後の進め方をご説明します。
ご依頼
費用をご確認いただいたうえで、ご依頼いただけます。