REAL ESTATE | 貸主・管理会社の方へ
店舗・事業用物件の明渡し
テナントが賃料を滞納している。解除を通知しても営業を続けている。店舗、オフィス、倉庫など事業用の物件を貸している方からのご相談です。手続の骨組みは住居と同じでも、事業用では造作や保証金、残された商品の扱いが金額に響きます。住居と何が違うのかから、順にご説明します。
CASE
このような場面のご相談
テナントの滞納が数か月分になり、督促にも応じてもらえない
契約と違う使い方をされている、無断で又貸しされている
契約を解除したのに、営業を続けて退去に応じない
内装費用の買取りや、保証金の精算で対立している
建替えや再開発のために、店舗の立退きを進めたい
POINT
住居との違い
店舗や事務所、倉庫などの事業用物件でも、督促から解除、訴訟、強制執行へと進む手続の流れそのものは、住居の場合と大きく変わりません。異なるのは、退去がそのまま営業の停止や移転につながる点です。事業用の物件では、次のような点が争いになり得ます。ご相談の初期に、どれが当てはまるかを確かめておくと、その後の見通しが立てやすくなります。
退去に伴う休業や移転が、売上や取引先との関係にどう影響するか。ただし、営業補償という独立の請求権が当然に生じるわけではありません。老朽化や建替えなど貸主側の事情で更新を拒絶・解約を申し入れる場合の正当事由や立退料の検討、あるいは合意による退去を目指す交渉の条件として問題になり得る一方、賃料の不払など借主側の契約違反による解除では、当然に補償の義務が生じるものではありません。
借主が貸主の同意を得て取り付けた造作について、契約が期間満了や解約申入れで終了する場合に、その買取りを求められることがあります(借地借家法33条)。債務不履行による解除で終了した場合には及びません。この請求権は特約で排除することもでき、契約に買取りを請求しない旨の定めが置かれていることもあります。
事業用では保証金や敷金の額が大きく、償却や原状回復の範囲が契約で細かく定められていることもあります。未払賃料や原状回復費用と、預けられた金銭をどう精算するかが問題になります。
室内に残された商品・什器・在庫の量や種類が多く、搬出や保管の費用が大きくなりやすい点が、住居と異なります。明渡しの強制執行では、執行官が目的外の動産を取り除いて債務者などに引き渡し、引渡しが難しい場合は所定の手順で保管・売却などを行います。貸主が在庫などを任意に廃棄・処分できるわけではなく、残置物の扱いは手続に沿って進めます。
建物明渡しの全体の流れ、督促から強制執行までの手続や解除できる条件は、建物明渡し・立退き(貸主側)のページでご説明しています。このページは、そのうち事業用物件に特有の点に絞ってお伝えしています。
APPROACH
対応の進め方
はじめに確認するのは、契約の種類と、退去を求める終了の原因です。普通建物賃貸借では、貸主からの更新拒絶や解約申入れに原則として正当事由が必要ですが、定期建物賃貸借、一時使用目的の賃貸借、賃料滞納などの契約違反による解除では、扱いが異なります。この区別によって、営業への影響や立退料をどう検討するかも変わるため、まず契約書と通知の内容から確かめます。
そのうえで、賃貸借契約書、賃料の入金記録、これまでのやり取りを確認し、契約を解除できる状況かどうかを見極めます。事業用の物件では、あわせて内装や設備の工事に関する資料、保証金の授受がわかる資料、原状回復の範囲を定めた条項を拝見します。滞納であれば督促の経緯と滞納額の確認から、建替えや再開発を理由とする立退きであれば、建物の状況と立退きを求める事情の確認から始めます。
事業用物件で特に気を配るのが、テナントの営業がまだ続いている場面です。合意による退去を目指す場合には、移転先の確保や在庫の整理、原状回復の工事に相応の時間がかかるため、退去の時期、造作や保証金の扱い、原状回復の範囲といった条件を交渉のなかで具体的に詰め、合意した内容を書面に残しておくことが、後の行き違いを防ぎます。もっとも、これは合意による解決を目指す場合の進め方であり、借主が常に猶予期間を請求できるとか、貸主に交渉の義務があるという意味ではありません。
交渉で折り合いがつかないときは、建物明渡しの訴訟を提起します。占有者が入れ替わるおそれがあるときは、占有移転禁止の仮処分を検討することもあります。判決を得ても任意に退去しない場合は強制執行に進みますが、事業用物件では残された商品や什器の扱いが加わるため、あらかじめ物件の状況を把握しておきます。手続の各段階で、費用と見通しをご説明しながら進めます。
お問い合わせFAQ
よくあるご質問
店舗のテナントに明渡しを求める場合、住居とどこが違いますか
進め方の骨組みは同じですが、事業用では金額に響く要素が加わります。退去が営業の停止や移転に直結するため、営業への影響の扱い、内装や設備に投じた費用(造作)、保証金の精算、室内に残る商品や什器の処理が、住居にはない形で問題になります。まずは契約書と、内装・保証金に関する取り決めの確認から始めます。
造作買取請求とは何ですか。応じなければなりませんか
借地借家法に、借主が貸主の同意を得て取り付けた造作の買取りを求められる制度があります(造作買取請求権)。対象になるのは、期間満了か解約申入れで賃貸借が終了する場合で、賃料滞納など借主の落ち度による解除には適用されません。特約で外すことも認められているため、まず契約書にその定めがあるか、どの設備が対象になり得るかを確認したうえで、対応を決めます。
テナントが営業を続けたまま退去に応じません。どのように進めればよいですか
営業が続いていても、進め方の骨組みは変わりません。解除できる状況かを見極め、書面の通知、交渉、まとまらなければ訴訟という順に進みます。話し合いで退去してもらう場合には、退去日、造作や保証金の扱い、原状回復の範囲を先に決めて書面にしておくと、揉め直しを防げます。テナント側に猶予を求める権利が当然にあるわけではないため、解除できる状況であれば、訴訟・強制執行の手続で進めることになります。
保証金や敷金は明渡しのときにどう精算されますか
「保証金」という名称でも、賃貸借上の債務を担保する実質があれば、敷金と同じ規律の対象になり得ます。原則として、賃貸借が終了して物件が返還された後に、未払賃料や原状回復にかかる費用などを差し引いた残額を返還する仕組みです。事業用の物件では、住居に比べて金額が大きく、一定額を返還しないとする償却の特約が置かれていることもあります。償却特約が及ぶ範囲や原状回復の範囲は契約ごとに異なるため、契約書の条項と、金銭の授受がわかる資料をもとに、精算の見通しをご説明します。
CASE EXAMPLES
解決事例
店舗・事業用物件の明渡しに関して、貸主側で取り扱ってきた案件の一例です。依頼者が特定されないよう、概要を抽象化して掲載しています。解決内容は事案により異なります。
賃料滞納テナントの建物明渡し
提訴後の和解で退去日と精算条件を合意
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店舗・事業用物件の明渡しのご相談
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